全脳組織開発帳

企業で人と組織の力を引き出す仕事をする中で学んだこと、感じたこと

強みを知り、強みを活かす

 ※社内メールマガジンに書いた文章を修正したものです

新規テーマを考えたり、戦略を策定したり、ビジョンを作ったりする時には、徹底的に強みに着目せよということが言われます。かのピーター・ドラッカーも、「強みのみが成果を生む。弱みはたかだか頭痛を生むくらいのものである」と言っています。

確かに、弱みをカバーすることばかり考えていては何も始まりません。でこぼこのある自分たちの、へこんでいるところをいくら埋めていっても、ただ丸くなっていくだけです。まずは、出っ張っているところはどこか、どこをどうやってもっと出っ張らせるか、尖らせるかを考える必要があります。

これまで、いくつかの組織でビジョン構築などの支援をしていて、強みに集中することのパワーをいつも感じています。

ただ、強みだけを見るというのはそれほど簡単なことではありません。考えているとどうしても、できていないところ、課題となっているところが見えて不安になってきます。 弱みを見ながら強みに着目できるほど人間は器用ではありません。不安を手放し、強みに集中しようと全員で意識して取りかからなければなりません。それは勇気のいることであり、チームの結束を必要とするのです。

また、何が強みなのかを知るのも、これまた簡単なことではありません。自分たちの強いところというのは自分ではなかなかわからないものです。

ドラッカーによれば、自らの強みを知るには「フィードバック分析」をするしかないそうです。何かをすることを決めたら、それに何を期待するかを書きとめておき、何ヶ月も経ってからその期待と実際の結果を照合するのです。

ドラッカーの言っているのは「未来の自分」がフィードバックするという方法ですが、他者からフィードバックをもらう方法もあります。「私(たち)の強みは何ですか?」と聞けばいいのです。強みを伝えてもらうというのは普段なかなかやらないことですが、とても意義のある関わり方だと思います。

相手が話し終わるまで聴く

まず受け取る」というエントリで、「相手が話しだしたら、言い終わるまで聴く」というのを始めるといい、ということを書いた。

「受け取る」ことを意識しだしてから、相手の話を途中でさえぎって話し始める人がいると以前よりも気になるようになった。あんまりだと思った時には「○○さんの話はまだ終わってませんよ」と言うこともある。

そういう私も以前はかなりさえぎるタイプだったと思うのだが、今は相手が話し終わるまで話し出さずに聴くことにしている。そうすると、こちらが相手との会話から受ける感触は明らかに違う。話をよく聴けている感じがあるし、前よりも双方が言いたいことをきちんと出し合っている気になる。

一方で、相手がどう思っているか、どんな感触を持っているかははっきりとはわからない。「今最後まで聴くようにしてましたけど、どうでしたか?」と聞いたとしても、たいていは「え? そうでした?」と言われるだろう。ただ長い目で見れば相手との関係によい影響があると思える。

最後まで聴くことにはリスクもある。聴いているうちにまた別の人が話しだして自分の話すタイミングを逸したり、だんだん話の流れが変わってしまって、自分が言おうとしていたことを言う雰囲気ではなくなってしまったり。

会話というものが文章同様にシリアルなものである以上、これはしょうがない。どうしても言いたいことがあれば、「話は戻りますけど…」「さっき言おうと思ってたんですけど…」などと断ってから言えばいい。

他の人の言うことは最後まで聴きつつ、言いたいことはちゃんと言えるようになりたい。ただし、延々しゃべり続ける人は「ちょっと他の人の話も聴きましょう」と中断したい。そこまでできるようになれば言うことないな。

「対話」がはじまるとき―互いの信頼を生み出す 12の問いかけ(マーガレット・J・ウィートリー)

「対話」がはじまるとき―互いの信頼を生み出す 12の問いかけ

「対話」がはじまるとき―互いの信頼を生み出す 12の問いかけ

  • 作者: マーガレット・J・ウィートリー,浦谷計子
  • 出版社/メーカー: 英治出版
  • 発売日: 2011/03/08
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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 ※社内メールマガジンに書いた文章を修正したものです

「対話」について書かれた本はたくさんありますが、この本は比較的平易で、 かつ深いことが書かれていると思います。

最初の章は、対話の力と大切さ、そして対話のルールについて。特に「何かを変えたかったら、まわりの人と話すことから始めましょう」というのは本当にそうだと思いました。そのシンプルなプロセスが大きな影響の輪に広がっていくかもしれないのです。

「対話のきっかけ」の章では、対話の核となる12の問いが書かれています。 かなり抽象的な問いが多いのですが、目にとまったものに意識を向けながら人と話をすると、対話を深める助けになるかもしれません。

中でも「恐れを乗り越えられますか?」というのは、折にふれて自分たちに投げてみたい問いで、仕事にも通じるものだと感じました。

全体的に、理屈に頼りすぎず、いたずらにスピリチュアルな感じになることもなく、 楽に読める本です。

経営トップのコミットメントレベル

会社の中で組織開発活動(つまりはどこかの組織をよくする活動)を支援する際、その組織のトップ(長)がその活動にコミットしてくれていることは非常に重要である。

組織開発は強制的にやろうとするとたいていうまくいかないが、やると決めたら、乗り気でないメンバーにもやるべきことをやってもらわないといけない。トップがコミットしていれば指示を出してもらうこともできる。支援者の立場からそれを行うのは難しい。

その「トップのコミットメント」にもレベルがあると考える。以下は私が勝手に考えたレベルづけ。

  • レベル0: 無関心
    組織開発活動に関心がない、もしくは反発している
  • レベル1: 消極的推進
    「いいものならやっておいてくれ」という態度
  • レベル2: 積極的推進
    自分から進んで活動を引っ張ろうとしている

トップ以外の人の発案で始まる場合、トップの態度はたいていレベル1までである。活動を進めて効果を実感してもらうことにより、なんとかレベル2になってもらおうとすることが多い。

だが、レベル2でも本当は十分ではない。もう1つ上のレベルがある。

  • レベル3: フルコミットメント
    組織開発の活動によって自分も変わろうと本気で思っている

組織風土の問題というのはいわゆる「技術的課題」ではなく「適応課題」である(ロナルド・A・ハイフェッツ他「最難関のリーダーシップ」による)。問題に取り組むメンバーすべてがその問題の内部にいて、問題を引き起こす原因ともなっている。トップもその一人であり、問題の片棒をかついでいる。もしかしたら片棒どころか主犯であるかもしれない。

だから、組織を風土面からよくしようと思えば、トップ自らが変わっていくことが必要であり、いくら積極的に推進しようとしていても活動の外にいて「おまえらが変われ」と言っていてはダメなのである。

では勇気を出してトップに「あなたが変わってください」と言えばいいかというと、それもたいていダメである。「変わって」で変わってくれる人はいない。活動を通じて何かに気づいてくれることを意図して、真摯に関わっていくしかない。

「アイデアのつくり方」(ジェームス・W・ヤング)

アイデアのつくり方

アイデアのつくり方

※社内メールマガジンに書いた文章を修正したものです

アイデアを生み出すことについて書かれた本といえばまずこれ。原著の発行は1940年。それ以来売れ続けているロングセラーです。

とても短い本で、すぐ読めます。原著者の書いている部分はたったの60ページほど、しかもレイアウトはスカスカ。その短い中に、「よいアイデアを出すにはどうしたらいいのか?」という問いへの解答が書かれています。アイデア出しのすべてはここから始まるのではないかと思います。

日本語版では物理学者の竹内均氏が解説を書かれていて、共著のような趣。ブレーンストーミングについても少しだけ触れられています。

ブレーンストーミングのコツ

※社内メールマガジンに書いた文章を修正したものです

技術開発の仕事をしていたころ、技術ネタ出しや課題解決のアイデア出しのために「ブレーンストーミングをしよう」ということになったことが何度もありました。

ところが、やった結果として「ああ、今日はブレーンストーミングをしたなあ、アイデアを出したなあ」という感触を持てたことは一度もありませんでした。いつも途中から普通の議論になってしまい、アイデアをどんどん出す場にならないのです。今思うと、全くブレーンストーミングではありませんでした。

ブレーンストーミングの歴史は古く、考案されたのは1950年代です。ルールはその頃から変わっていないようで、以下の4つの原則があります。

  • 批判厳禁(判断延期): 評価・判断はブレーンストーミングが終わってから
  • 自由奔放: 突飛なアイデア大歓迎
  • 質より量: よいアイデアを出すより、たくさん出す
  • 便乗歓迎: 他の人のアイデアにどんどん乗せる

まずは議論せずに徹底的に発散させること、それらの相互作用でさらにアイデアを出していくことを意図して定められたルールですが、これらは普段仕事を進める時の常識とは大きく異なっています。

私たちは、人が何か言ったらすぐにそれを評価・判断するように訓練されていますし、突飛なことを言って場を乱したりしないのが大人です。また質の低いものをたくさん出すのは効率が悪い・恥ずかしいと思うのが普通ですし、他人の尻馬に乗ったアイデアを出すのはよくないという倫理観を持っています。

ですから、単に「たくさんアイデアを出そう」ぐらいの気持ちで始めても、すぐに普段の調子に戻ってしまいます。

ではどうすればいいか? みんなが意識的に普段と違うモードになるように気持ちを向けることが何よりも重要です。

そのための場づくりとして「特別感」「非日常感」を出すのは効果的です。たとえば

  • 会議とは独立に「ブレーンストーミング」とか「発散」というタイトルの時間枠を設けて実施する
  • いつもと違うメンバーを入れる(アイデアの多様性という意味でもgood)
  • いつもと違う場所で行う
  • 全員が立って行う
  • いつもと違う格好をする (会社にあるものでいうと、たとえば安全ヘルメットをかぶるとか軍手をはめるとか…)

などなど、普段の会議と明確に異なる場にすればやりやすくなります。最後のはプチコスプレ。状況が許すなら効果抜群だと思います。 明確に違うことをやらなくても、「いいですか、ここからはモードを変えますよ」と宣言するだけでも変化があるでしょう。

私が実施しているアイデア出しワークショップでは、全員に立ってポストイットとペンを持ってもらい、雰囲気を盛り上げるために音楽をかけてブレーンストーミングをしています。

せっかくブレーンストーミングをやるなら、気持ちの枠をはずしてめいっぱい発散させ、アイデアの吟味はあとでゆっくりやるようにしたいものです。

「これだけ! KPT」(天野 勝)

これだけ!  KPT

これだけ! KPT

※社内メールマガジンに書いた文章を修正したものです

仕事のやり方に焦点を当てた「これだけ!」シリーズの1つ。「よかったことに目を向けよう」で紹介したKPT(けぷと)が詳しく解説されています。

KPTの具体的な進め方から、環境設定、うまくいかないときの対処法などの運用面、さらにKPTの考え方を応用したプロジェクト運営まで、1冊まるごとKPTです。これを読めばすぐにKPTが活用できると思います。

著者の天野さんのKPTに関するプレゼンスライドを以下で見ることができます。 ・KPTの基本と、その活用法

よかったことに目を向けよう

※社内メールマガジンに書いた文章を修正したものです

何かの活動を終えた時やプロジェクトの節目などに、みんなで「ふりかえり」をすると思います。その時にどんなことを話していますか?

「こういうことができていなかった」「これが課題」ということだけが中心になっていないでしょうか。ふりかえりの場そのものが「反省会」と呼ばれている場合もありますよね。

私たちは普段から「課題・問題を見つけて解決する」というやり方(ギャップアプローチ)に慣れ親しんでいます。課題解決はもちろん大事なのですが、ふりかえりを行う時には、「うまくいかなかったこと」だけでなく「よかったこと」「うまくいったこと」にも意識的に目を向けるべきなのです。

具体的にはどんなことか? 「日程通りにリリースできた」「お客様の要望を満たせた」といった成果そのものはもちろんのこと、「議事録を短時間で発行できた」というような「やり方」のよかった点や、「前向きな議論ができた」「○○さんに感謝してもらえた」というたぐいのものでもいいのです。よかったことを具体的に挙げてみましょう。

よかったことに目を向けるべき理由としては、大きく2つあります。

1つは、「よかったことにも学びがある」ということ。うまくいったのだからふりかえらなくてもいいということはありません。どういうところがよかったのか、今後も続けるべきことは何かをきちんと確認しておくことで、次に向けての指針になります。

もう1つの理由は、チームとしてのマインドの問題です。うまくいかなかったことだけを考えていては滅入るばかり。全員で「よかったこと」にも目を向けることを続けていれば、メンバーの姿勢が前向きになりますし、雰囲気もよくなります。

そのようなふりかえりのやり方としてはいろいろありますが、シンプルなのは「Good & Better」といって、「よかったことは…」「さらによくするとすれば…」の順にふりかえる方法です。まず「よかったこと」に集中する、というだけで違いが生まれます。

もう少しきちんと行う手法として、KPT(通称「けぷと」)があります。これは

  1. よかったこと、今後も続けること(Keep)
  2. 課題であること、問題点(Problem)
  3. 今後試したいこと(Try)

の順に挙げていくものです。

いずれのやり方をとるにしても、「よかったこと」をまず先に挙げるのが大事です。課題・問題点出しを先にすると、頭が課題解決モードになってしまい、「よかったこと」が出なくなります。いつもの習慣で課題が頭に浮かんできてもいったん手放して、まず「よかったこと」を出しきってしまいましょう。

ふりかえりの改善は、少しの手間で効果大です。ぜひお試しを。

「爆笑する組織─会社を強くする『だじゃれ』仕事術」(鈴木ひでちか)

爆笑する組織──会社を強くする「だじゃれ」仕事術

爆笑する組織──会社を強くする「だじゃれ」仕事術

※社内メールマガジンに書いた文章を修正したものです

友人が本を出しました(2014年9月)。「爆笑する組織」というタイトルは、ここでも紹介した組織開発のバイブル本「学習する組織」のパロディです。

サブタイトルの通り、「仕事にだじゃれを活用しよう」という本です。ふざけた本だと言うなかれ。だじゃれの活用が、一貫して「組織やリーダーシップの強化」を目標として、あくまでまじめに説かれています。

この本で主張されている「『あそび』のある組織は強い」というのは、まさにその通りだと思います。「あそび」を持つことは、「まず受け取る」で書いた「スペース」を自分の中に持つことにもつながります。また、社員間の関係の質を高めるために「オンの中に小さなオフを創り出す」(仕事の最中に少しだけあそび心を持った時間を持つ)ことが必要、という話には思わず膝を打ちました。

だじゃれ使いで知られるなでしこジャパンの佐々木監督をはじめ、ドミノピザ、古河機械金属など、様々なだじゃれ活用事例を取材して紹介しているのも読みどころです。

さらに、だじゃれの作り方・使い方、滑ったときのフォローのしかたまで指南してくれる本です。会議のウォーミングアップ方法として紹介されている「だじゃれPK戦」は、ぜひ社内のどこかでやってみたいと思っています。

著者の鈴木ひでちか氏が「だじゃれを世の中に広める活動をしていきたい」と言い出した時は「本気か? それこそシャレで言ってるのでは?」と思いましたが、彼はだじゃれワークショップを何度も開催し、専門学校でだじゃれの授業をし、「日本だじゃれ活用協会」という法人まで作り、そしてこの本を出版してしまいました。

やりたいこと・信じていることがあったら、まわりに変に見られようとも一歩を踏み出す、そして何が起こるかを見る、ということが大事だと思いました。その行動力を見習いたいと思います。

まず受け取る

※社内メールマガジンに書いた文章を修正したものです

対話のススメ」で、対話を妨げる要因として以下の3つを挙げました。

  • 自己防衛: 自分を守ろうとすること、責められないようにすること
  • 条件反射: 他の人の発言に対して深く考えずにすぐに反応すること
  • 思い込み: 個々人の発言の背後にあるが共有できていない、暗黙の前提

これらを手放すのはとても難しいのですが、そのための第一歩としてできることは何でしょうか? それは「相手の言ったことをまず受け取る」ということだと思います。

会議などでのやりとりを一歩引いて観察すると、誰かが話している途中で別の人が話し出すということがとても多いことに気がつきます。いつもそれがダメというわけではありませんが、「言いたいこと、まだ終わっていないのでは?」「ここで割って入ったら、お互い理解しないまま話が進むのでは?」と思うことがよくあります。

「相手の言ったことをまず受け取る」というのは、言われたことに対してすぐに反応せずに、いったん体の中に入れて「○○さんはそう言いたいんだな」「そういう考えもあるのか」と思ってみる、ということです。

最後まで聴くというだけではなく、あらかじめ自分の中に「スペース」を作っておき、相手が言ったことをそこに入れるという感覚があるといいです。一瞬でもいいのでそうしてから、浮かんだことを口に出します。あくまで自分の中に入れるだけであって、同意する・賛成するということではありません。受け取った上で反対意見を言うのはもちろんOKです。

相手の言葉を入れるための「スペース」を作ることで自己防衛を少し手放すことになり、いったん自分の中に入れることで条件反射を減らすことができ、考える間をおくことは思い込みに気づくことにもつながります。

もう少し具体的なやり方としては、

  • 相手が話しだしたら、言い終わるまで聴く
  • 相手が言い終えたら「はい(or うん)」と言う

ということを心がけるところから始めるのがよさそうです。ここでの「はい(orうん)」は、同意しましたという意味ではなく、「あなたの言ったことを受け取りました」というサインです。この時に「体に入れる」感覚を味わってみます。

相手がそうしていなくても、まずは自分から始めてみませんか? 最初は居心地が悪いかもしれませんが、会話にはよい影響があると思います。