全脳組織開発帳

企業で人と組織の力を引き出す仕事をする中で学んだこと、感じたこと

まず受け取る

※社内メールマガジンに書いた文章を修正したものです

対話のススメ」で、対話を妨げる要因として以下の3つを挙げました。

  • 自己防衛: 自分を守ろうとすること、責められないようにすること
  • 条件反射: 他の人の発言に対して深く考えずにすぐに反応すること
  • 思い込み: 個々人の発言の背後にあるが共有できていない、暗黙の前提

これらを手放すのはとても難しいのですが、そのための第一歩としてできることは何でしょうか? それは「相手の言ったことをまず受け取る」ということだと思います。

会議などでのやりとりを一歩引いて観察すると、誰かが話している途中で別の人が話し出すということがとても多いことに気がつきます。いつもそれがダメというわけではありませんが、「言いたいこと、まだ終わっていないのでは?」「ここで割って入ったら、お互い理解しないまま話が進むのでは?」と思うことがよくあります。

「相手の言ったことをまず受け取る」というのは、言われたことに対してすぐに反応せずに、いったん体の中に入れて「○○さんはそう言いたいんだな」「そういう考えもあるのか」と思ってみる、ということです。

最後まで聴くというだけではなく、あらかじめ自分の中に「スペース」を作っておき、相手が言ったことをそこに入れるという感覚があるといいです。一瞬でもいいのでそうしてから、浮かんだことを口に出します。あくまで自分の中に入れるだけであって、同意する・賛成するということではありません。受け取った上で反対意見を言うのはもちろんOKです。

相手の言葉を入れるための「スペース」を作ることで自己防衛を少し手放すことになり、いったん自分の中に入れることで条件反射を減らすことができ、考える間をおくことは思い込みに気づくことにもつながります。

もう少し具体的なやり方としては、

  • 相手が話しだしたら、言い終わるまで聴く
  • 相手が言い終えたら「はい(or うん)」と言う

ということを心がけるところから始めるのがよさそうです。ここでの「はい(orうん)」は、同意しましたという意味ではなく、「あなたの言ったことを受け取りました」というサインです。この時に「体に入れる」感覚を味わってみます。

相手がそうしていなくても、まずは自分から始めてみませんか? 最初は居心地が悪いかもしれませんが、会話にはよい影響があると思います。