全脳組織開発帳

企業で人と組織の力を引き出す仕事をする中で学んだこと、感じたこと

愛のある好奇心

私がコーアクティブ・コーチングの講座に通い始めたのは、2010年6月のことでした。

最初の基礎コースを受ける前に、「コーチング・バイブル」(当時は第2版)を読みました。内容はよくわからないことが多かったのですが、コーチングをするには人に対する「好奇心」(「5つの資質」の1つ)が大事だと書いてあったのが特に印象に残りました。私は自分のことを、人に対する好奇心を人一倍持っている人間だと思っていましたので、その点には自信を持ってコースに臨みました。

コーチングを実際に学び体験し始めてみると、好奇心というのは本当に大事な肝だということがわかってきて、めいっぱい好奇心を発揮してコーチングをやろうと思うようになりました。

一方、コースの中でクライアントとしてコーチングを受ける中で「あなたが何を大切にして生きているのか?」という問いを投げかけられることがあり、それに対して「愛と叡智です」と答えるようになっていました。愛と叡智。これらは今でも自分の根幹にあると感じています。2つともなくてはならないもの。どちらが欠けてもダメ。右脳・左脳統合ということにもつながる2つの要素です。

講座は応用コースに進み、その最後の3日間。その中でのあるワークで、私に対して同じ参加者の一人から投げられた言葉が深く突き刺さりました。

「『叡智』はわかったけど、『愛』が見えない!」

この時はコーチングをしていたわけではなかったのですが、「叡智」に比べて、私の言う「愛」がどんなものかよくわからない、あまり出てきていない、というコメントだったのです。

それについて考えているうちに、気づいたのです。

「自分の好奇心には『愛』が足りない」

私が「人一倍持っている」と思っていた好奇心は、人に対する好奇心ではなく、物に対する好奇心と同じでした。たとえば機械を見て「どうやって動くんだろう? 中身はどうなってるんだろう?」というような好奇心。

いや、同じではありません。けっして人を物と同じように見ていたわけではないのです。でも、人に対する時の好奇心はもっと違うものでなければ。愛のある好奇心を持たなければならない。そう感じました。コーチングで大事な好奇心は、人に対する好奇心、愛のある好奇心なのです。

以来、「愛のある好奇心」はずっと私のテーマになっています。コーチングをする時だけでなく、複数の人の集まる場をリード/ファシリテートする時、さらに言えば普通に人と会話する時でも、愛のある好奇心を持つ、というか、自分の中からそれを出してくるようにすること。終わりのないテーマです。