全脳組織開発帳

企業で人と組織の力を引き出す仕事をする中で学んだこと、感じたこと

経営トップのコミットメントレベル

会社の中で組織開発活動(つまりはどこかの組織をよくする活動)を支援する際、その組織のトップ(長)がその活動にコミットしてくれていることは非常に重要である。

組織開発は強制的にやろうとするとたいていうまくいかないが、やると決めたら、乗り気でないメンバーにもやるべきことをやってもらわないといけない。トップがコミットしていれば指示を出してもらうこともできる。支援者の立場からそれを行うのは難しい。

その「トップのコミットメント」にもレベルがあると考える。以下は私が勝手に考えたレベルづけ。

  • レベル0: 無関心
    組織開発活動に関心がない、もしくは反発している
  • レベル1: 消極的推進
    「いいものならやっておいてくれ」という態度
  • レベル2: 積極的推進
    自分から進んで活動を引っ張ろうとしている

トップ以外の人の発案で始まる場合、トップの態度はたいていレベル1までである。活動を進めて効果を実感してもらうことにより、なんとかレベル2になってもらおうとすることが多い。

だが、レベル2でも本当は十分ではない。もう1つ上のレベルがある。

  • レベル3: フルコミットメント
    組織開発の活動によって自分も変わろうと本気で思っている

組織風土の問題というのはいわゆる「技術的課題」ではなく「適応課題」である(ロナルド・A・ハイフェッツ他「最難関のリーダーシップ」による)。問題に取り組むメンバーすべてがその問題の内部にいて、問題を引き起こす原因ともなっている。トップもその一人であり、問題の片棒をかついでいる。もしかしたら片棒どころか主犯であるかもしれない。

だから、組織を風土面からよくしようと思えば、トップ自らが変わっていくことが必要であり、いくら積極的に推進しようとしていても活動の外にいて「おまえらが変われ」と言っていてはダメなのである。

では勇気を出してトップに「あなたが変わってください」と言えばいいかというと、それもたいていダメである。「変わって」で変わってくれる人はいない。活動を通じて何かに気づいてくれることを意図して、真摯に関わっていくしかない。